• 2014.10.3

厚労省が定める「バス運転者の労働時間等の改善基準」とは?

路線バスは365日、早朝から深夜まで運行している関係上、
運転士はサラリーマンのような定時勤務ではなくダイヤに基づいた変則勤務であることは
このサイトでも紹介していますし、予備知識としてご存知の方も多いと思います。

さて、「4勤2休」「中休」という特殊なシフトも織り交ぜて乗務しているわけですが、
運転士不足からの長時間勤務・休日不足が問題視されています。

2012年に発生した「関越自動車道高速バス居眠り運転事故」でも、
これら運転士を取り巻く厳しい労働環境がクローズアップされているのですが、
運転士の運用基準(労働時間の基準)はどうなっているのか解説していきます。

まず、関越道で重大事故が発生したのは2012年(平成24年)のことです。
これより5年前の2007年(平成19年)に厚生労働省労働基準局が、
「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)」というものを定めています。
内容を見てみると、拘束時間・休息期間・休日の取り扱い・連続運転時間など、
全12ページにわたり細かく定められており勤務例も明示されています。

【拘束時間について(以下一部抜粋)】

(1)4週間を平均した1週間当たりの拘束時間は以下のとおりです。
○4週間を平均した1週間当たりの拘束時間は原則として65時間が限度です。
○ただし、貸切バスを運行する営業所において運転の業務に従事する者、
貸切バスに乗務する者及び高速バスの運転者について、
書面による労使協定(P10参照)を締結した場合には、52週間のうち16週間までは、
4週間を平均した1週間当たりの拘束時間を71.5時間まで延長することができます。

(2)1日の拘束時間と休息期間は以下のとおりです

○1日(始業時刻から起算して24時間をいいます。以下同じ)の拘束時間は
13時間以内を基本とし、これを延長する場合であっても16時間が限度です。
○1日の休息期間は継続8時間以上必要です。

(解説図の抜粋)
勤務と休息(厚労省)

上記は基準の一部で他にも休日の取り扱いなども細かく決められています。
ちなみにトラック・タクシーも別途基準が定められていますので、
運輸業の方は一度目を通しておいて損はないと思います。
関連リンク:自動車運転者の労働時間等の改善の基準(厚生労働省)

さて、このように行政が基準を設けているのですが、
厳しい現実に直面している事業者が多いのが実情だと思います。
要するに運転士が不足しているので基準を遵守すると運休せざるを得ないという現実です。
実際は「管理職もハンドルを握る」「法定ギリギリの勤務を続ける」
などによって運休を防いでいるという声も同業内で聞かれます。

バスが運休するとなると乗客の信用を失い乗客減に歯止めがかからなくなります。
また、収益の悪化から運転士の賃上げや福利厚生の充実には至らず運転士は離職、
そして、運転士不足がさらに深刻化するという負のスパイラルに陥るわけです。
このあたりの状況はメディアでも大きく報道され、
国土交通省では「バスの運転者の確保及び育成に向けた検討会」が発足していますが、
路線バス事業は自社路線からコミュニティバス(自治体)にシフトするなど、
収益構造や環境も大きく変わりつつありますので簡単に解決できる問題でもないと思われます。

ただ、バス事業に限らず労働者不足やブラック企業が国内で問題視されている現在において、
バス運転士の労働改善に向けた動きがクローズアップされ行政も動いていると考えれば、
まだ、将来の環境改善に向けて期待が持てるように感じます。

LINEで送る
Pocket

関連記事

人気記事ランキング

新ブログの更新情報

ページ上部へ戻る