• 2014.11.3

名古屋市バスの経路ミス問題。防ぐには物理的なシステムを導入することが有効では?

私の地元、愛知県最大手の公営バス「名古屋市交通局」ですが、2011年に過去10年間で約2000件にも及んだ事故隠しが発覚して以来、世間からの風当たりが強いことは旧ブログでも度々書いてきました。

最初の頃は1000両も保有(都バス約1400両、大阪市営約680両)している大規模な路線バスだけに事故やミスもやはり比例して多いのでは? と思っていたこともあり、同じ運転士としてはブログで取り扱ったり、敏感な報道に心苦しさを覚える部分もあったのが実際のところです。

しかし、その後も免許証不携帯、バスレーンの逆走、燃料切れ、運転士の寝過ごしによるバスの遅延などミスが止まらない現状、さらには乱暴運転・暴言を繰りて不安を感じた乗客が降車、乗客を残して業務放棄という少し首をかしげたくなる不祥事も考えると、民間企業出身の私からすれば「組織上の欠陥があるのでは?」と思ってしまいます。

ただ、現在の市バスは9ある営業所(分所は除く)のうち、浄水営業所は三重交通、大森営業所と野並営業所は名鉄バスに民間委託されていますので、必ずしも”ミス=公務員”とは限らないことは理解しておいたほうが良いかもしれません。

そんな中、自宅でテレビニュースを見ていると、また市バス関連のニュースが… 

▼以下引用

先月31日、名古屋市中川区で市営バスの運転手がルートを間違え、5つのバス停を飛ばして運行しました。

ルートを間違えて運行したのは、稲西営業所の39歳の男性運転手です。名古屋市交通局によりますと、この運転手は先月31日午後4時半ごろ中川区の地下鉄高畑のバス停を出発しました。その後、中川商高のバス停など5ヵ所を経由すべきところを別のバス停を経由して運行しました。中川商高のバス停で待っていた客から「バスが来なかった」という連絡を受けて発覚しました。出発前に、行き先やルートを十分に確認していなかったとみられ、運転手は「勘違いをしていた」と説明しています。

(メーテレ 2014.11.2)

自分も運転士をしているので他人事ではないのですが、正直、このニュースを見て思ったのが「行路表を1回も見てないでしょう」ということですね。ちなみに行路表とは運転士が携行する時刻表のことで、スタフ・交番表・仕業表など事業者によって名称は異なり市バスではダイヤ板と呼ばれているそうです。

市バスの行路表
(画像引用元:うちたまの名古屋市営バス日記

こちらが実際に市バスで使用されている行路表です。運転士が携行する行路表は事業者によってデザインは異なるのですが、一般的にはご覧のようにバス停ごとに時刻が明記してあるタイプが使用されています。また、市バスの場合は注意すべき経由地やバス停には黄地で注意喚起してありますので比較的運転士に親切なデザイン(系統が複雑な市バスだと物足りないかも?)だと思います。ちなみに、今回の経路ミスで使用された行路表もニュース映像で見たときは経由地には黄地で注意喚起してありましたね。

さて、ここまで大きくカラーで書いてあって間違えると言うことは「見ていなかった」というのが主要因だと思います。パターンダイヤとなれば通過時刻は毎時固定なので、自然と覚えてしまい行路表を見なくても運転できますからね。それにしても、「車内放送が実際のバス停と異なれば気が付くのでは?」と思ってしまうのですがどうだったのでしょう? それはさて置き、私もパターンダイヤ化されている路線のダイヤは頭の中に入っていますから、このようなミスを起こす危険はゼロではありません。

正直なところ、運転をしていて一番怖いのが漫然運転(ボーとしていた)です。人である以上、集中力が途切れてしまうのは仕方なく私も何度かヒヤッとしたことはありますが、ミスがあってからでは遅いので予防策として「方向幕の設定装置は予約モードにせず、転回場でその都度行き先を入力」「主要なバス停では指差し確認」「行き先や経由地は積極的に自分でアナウンスする」この3点をして漫然運転を防ぐようにしています。

恐らく、このような基本動作以上に経路ミスを防ぐ手段があるとすれば「カーナビ」や、近鉄やJR西などで採用されている「GPSを活用した運転支援装置」を導入することがパッと脳裏をよぎるのですが「そこまでコストを掛けるのもどうなの?」という声が聞こえてきそうです。とりあえず、市バスでは路線が分岐する手前のバス停で、経由地の案内を自動音声に入れ、お客様と乗務員に注意喚起する取り組みを26年度中に導入すると発表しています。

支援装置
(近鉄で採用されている携帯型のGPS支援装置 wikipedia)

路線バスに限らずどのような企業もミス発生時には「基本動作や確認を徹底しよう!」ということが合言葉として使われ、個々の能力や適正について議論する光景を見かけます。理解はできるのですが、個人的にはそれは”精神論主体の議論”になってしまいがちで、抜本的な解決方法に至らないような気がします。やはり「人はミスをするもの」ということを前提にしたシステム的な対策が必要なのではないでしょうか。

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