• 2014.11.4

コミュニティバスの運転士は将来安定した仕事ではありません。

昨日記事にした『名古屋市交通局(市バス)の経路ミス問題』。「人だからミスがあるのは仕方ないが…」という比較的寛容な意見から、「真面目にやっている人の職場が無くなるかもしれないという意識を持ってほしい」という意見まで様々寄せられ反響の大きさを感じましたね。

「給料は税金主体」「勤務が楽(過重労働がない)」「年収は民間より高い」と三拍子揃えば、「過当競争で給料が上がらず」「運転士不足で過重労働」「年収は全産業平均以下」という厳しい環境の中で頑張っている民間の運転士や利用者から不満の声は上がるのも当然のような気がします。

しかし、ミスは1000台もある市バスの中の1台の話です。残り999台に乗務する運転士は「たまったもんじゃない!」というのが本音でしょうし、私たちも真面目に乗務している運転士のことを考えてあげる必要性も感じますが、あまりに異常な不祥事が続くだけに「市バス(交通局)が解体される!」ということも視野に入れたほうがいいかもしれません。

実際、3つの営業所が民間に委託されていますから、少しケースは異なりますが岐阜市営バスのように全路線を民間に移管して解体ということも将来的には考えられると思います。さらに、市バスの場合は度重なる問題を受けて「民間に移管しろ!」という世論もあるだけにかなり現実的のような気がします。

さて、少し話が逸れてしまいましたが、名古屋市に限らず自治体が関与するコミュニティバスの事業者選定先方法はみなさんご存知でしょうか?

現在、事業者の選定方法は「入札」「随意契約」「プロポーザル」のいずれかで決定されています。入札は各事業者が契約金額を明示し一番条件が良い(契約金額が低い)事業者と契約する方法で、随意契約とは入札によらず「この事業者と契約する」と自治体が決定する方法です。どちらも公共事業で馴染みのある言葉ですが、近年、事業者が運行経費をはじめ運行計画・連絡体制・安全性・不測時の対処方法などをプレゼンテーションをして、その中から企画・提案能力のある者を選ぶ「プロポーザル」という方法も採用されており、入札・随意契約の欠点を補った方法として注目を集めています。

ちなみに平成24年度中部運輸局管内(愛知・岐阜・三重・静岡・福井)の資料によると、19.2%が入札、58.6%が随意契約、22.2%がプロポーザルを採用しているそうです。

で、私が注目しているのが「入札」です。

ご存知の通り、入札は一番安い金額を提示した事業者を選定する方法です。つまり、一般論としては契約期間の更新(入札)のたびに競合相手に契約を奪われないよう金額を下げていくわけです。そして、契約金額が下がったシワ寄せはどこに行くかと言うと「運転士」に跳ね返るわけです。賃金ならまだしも落札できなければ運転士の仕事は無くなるという厳しい現実がそこにはあります。

民間でも過当競争から運転士の環境が悪化し、様々な重大事故を招いているのは周知の事実です。しかし、安定と思われがちなコミュニティバス事業も視点を変えれば過当競争に巻き込まれているわけです。

実際、入札によって他社に路線を奪われた運転士(中小企業の方)の声を聞いたことがあるだけに、将来に不安を覚えることもゼロではありません。よく「○○市や△△町のバスを運転している」ということを知人に話すと「へぇ、安定しているからいいね」と言われることもありますが、決して安定はしていないのです。さらに、この他の要因も加わり路線バス運転士になっても離職する人が多いのが現状です。

現在、バス運転士の確保に向けた議論が活発化していますが、こういう現場の声も拾って欲しいものですね。

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