• 2015.1.15

バス停以外の場所で乗降できない理由とは?

とある路線を運転中のこと。歩道を歩いている高齢の女性がバスを見て「あのー」と言う感じで手を挙げます。これは「乗せてほしい」の合図であることは察しがついたのですが、問題はそこがバス停では無かった点です。

路線バスはフリー乗降区間を除いてはバス停での乗降が義務付けられているのは予備知識でご存知の方も多いと思います。たまにバス停前の交差点で赤信号に引っかかったときに「ここで降ろしてもらえますか?」と運転士に依頼して「バス停外では乗降が禁止されています」と断られた乗客が”逆切れ”して「融通がきかない」と事業者にクレームを入れることが話題となりますが、そもそもバス停外での乗降はなぜダメなのでしょうか?

まず、路線バスは「道路運送法」によって、運行計画(系統・運行回数・運賃など)を国土交通大臣に届けて許可を受けた上で運行しています。つまり、この計画以外のことを行うと”違反”になるわけです。

次に肝心のバス停ですが、設置するときは事業者が国に申請して設置しています。さらに、設置場所についても「原則として交差点の流出側に設ける」「横断歩道から横断歩道直前30m以内は設置禁止」「勾配の急な坂路及びその前後から40m以内は設置禁止」と言うように各都道府県の公安委員会ごとに基準が設けられており、その要件をクリアしないと設置できません。ただポールが立っているだけのバス停であっても、「停留所付近における交通の安全と円滑を図るため」にわざわざこの手順を踏んでいるわけです。

つまり、公安委員会が「ここならバス停を設置しても良いよ!」と言っているわけですから、この場所以外での乗降は公安は認めていないと解釈することができます。また、国土交通省も「バス停以外の乗降は行わないように」と事業者に指示しています。

しかし、鉄道であれば駅でないと高低差から乗降できないのに対し、バスはドアを開ければバス停以外でも乗降することが可能なため、「ある程度融通が利くのでは?」と思われている方がいるのかもしれません。実際、緊急車両や駐車車両によってバス停前にぴったり停車できないことも多々ありますからね。

このように、法律や国土交通省などの指示によりバス停以外での乗降ができないわけですが、運転士本人へのリスクも背景にあります。

例えば、バス停以外の乗降で事故が発生した場合、運転士が「安全運転義務違反」に問われたり、「過失割合」に影響することが十分に考えられます。事故に至らなくても、バス停以外での乗降を行ったことで「始末書」を提出させる事業者もありますから、軽々にドアを開けることができないわけです。

とは言っても、冒頭のケースですが、バス停が移設されたことを知らず久々に乗車しようとしたらどうでしょう? 他にも、上下線でバス停の位置が大きく離れており対向車線のバス停を見て場所を勘違い人がいてもおかしくはありません。実際、場所によっては対向車線にまとめているバス停もありますから可能性はゼロではありません。

バス停以外の場所での乗降禁止

今回のケースでは信号待ちと重なったため停車中に車外マイクで「すみません。バス停はあちらになりますので…」と乗降は断りましたが、正直、高齢者であったこともあり心苦しい部分があるのが本音です。

このようなとき「臨機応変」と言う言葉を思い浮かべます。臨機応変とは「状況に応じた行動をとること。場合によって、その対応を 変えること」と言う意味で日常生活やビジネスシーンで多用されています。今回のケースも「臨機応変に対応して乗車させたらどうなの?」と思われる方もいるかもしれません。

しかし、個人的には周囲の安全が確認できれば臨機応変に対応しても良いのではとも思う反面、路線バスは不特定多数が利用する公共交通ですからサービスは公平に一定でなければいけないとも思います。また、様々な手続きを踏んで関連法規を遵守して運行している路線バスですので、このあたりの事情も理解していただき乗車していただければと思います。

【あとがき】

今回の記事は個人の調査によるもので法解釈も私見となります。また、バス停設置基準や緊急時の乗降対応などは自治体・事業者によって異なりますので、あくまで個人意見としてお読みください。

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