• 2015.1.30

「バス停飛ばし問題」なぜ、乗客がいなくても終点まで行くの?

名古屋市交通局における不祥事が”また”ニュースになりました。地元愛知県、しかも同業の不祥事を話題にするのは気が引けるのですが、「何が問題だったのか?」という問題提起の意味も含めて記事にしたいと思います。

まずは、報道された不祥事の内容です。

▼以下引用
名古屋市交通局は27日、市バスの男性運転手(36)が26日の最終バスで、終点の手前で勝手に運行を打ち切り、営業所に戻っていたと発表した。早い帰りを不審に感じた上司の問い合わせに、通常通り運行したとうそをついたが、ドライブレコーダーの映像で発覚した。

交通局によると、運転手は同日、市営地下鉄原駅(天白区)-徳重駅(緑区)間の最終バスを運行。しかし午後11時45分ごろ、終点まで約1キロの地点で、残る2カ所の停留所に寄らず、営業所に戻ったという。乗客はいなかった。

運転手は「この区間は乗客が少なく、深夜なので誰も乗ってこないと思った。二度としない」と話しているという。交通局は「虚偽報告もあり、厳しく処分する」としている。
(2015.1.27 毎日新聞)

つまり、一時期問題になった「バス停飛ばし」が起きたわけです。バス停飛ばしとは、乗降客がいるにも関わらずバス停に停車しない、道順を変えてバス停を通過しない、終点までいかず途中で車庫に引き返すなど決められたバス停を通過しない(乗降できない)ことを言います。

もちろん、一般道を走行する以上、天災・事故により通行が困難な場合も生じます。止むを得ない場合における経路変更は道路運送法でも認められているのですが、基本的には運転士の独断ではなく運行管理者の指示を仰ぐこととなっているのが一般的です。また、道路工事・催事などでバス停を休止する場合も事前告知が義務付けられています。(一例)

このような規定のなかで路線バスは運行されていますので、今回、やむを得ない事情ではないことに加え運転士の勝手な判断で運行を打ち切った点は問題といえるでしょう。

補助金と運行計画の問題

さて、実際にバスが終点まで行かなかった場合、どのような問題が生じるのでしょう。

今回のようなバス停飛ばし問題がクローズアップされたのは静岡県で2006年に発生した事件がきっかけと言われています。当時、運転されていた路線バスも今回のように途中で運行を終了し車庫に引き返したそうです。しかし、その先のバス停でバスを待っている乗客がいたことからこの問題が発覚し行政処分まで発展しました。

問題がクローズアップされた背景には自治体から補助金を受けて運行していたことがあります。当然、計画上は終点まで行くことが前提になっていますので、補助金の支給額も終点までの距離を勘案した額になっていたと思われます。しかし、実際は計画取り運転されてはいないことから「不正受給?」との声が挙がったわけです。

もちろん、補助金の有無を問わず、路線バスは道路運送法によって経路や運行回数を国土交通大臣に届けていますので、バス停飛ばしは計画違反となるわけです。

そのため、いくら乗らないことが予想されていてもバス停に時刻が掲出され乗車できることが明記されている以上、必ず計画通りに運行しなければいけないわけです。実際、私も教育中に必ず終点には行くように強く言われましたね。

バス停飛ばしができるバス

バスは基本的に計画通り走ることが前提となります。しかし、バス停飛ばしを行うことを前提にした路線バスと言うのも存在します。その代表例が、過疎地を中心に運行されている「デマンドバス」です。デマンドバスと一口にいっても運行形態が様々ですので定義することが難しいのですが、一般的には「事前予約制のバス」と認識されています。

デマンドバスは路線バスのようにバス停と通過時刻が設定されているのですが、事前に運行事業者や役所に連絡して乗車する旨を伝えないと運転されない事前予約制のバスです。さらに、乗降予約のないバス停は通過する(経路をショートカットするので通らない)こともあるので、バス停飛ばしが認められているバスと解釈することができます。

また、座席指定席券(キップ)を購入して乗車する長距離高速バスや、降車扱いのみのバス停がある都市間高速バスなど、一部のバス形態においては乗客の乗降場所が明確であるためバス停飛ばしが認められている路線もあるそうです。

降車専用のバス停と運行計画を提出すれば

さて、一般の路線バスでバス停飛ばしが行われる背景には「もう、乗って来ないだろう」という運転士の考えがあります。私も終車における乗客ゼロを経験しており、「途中で運行を終了すれば燃料代もかからず、早く帰れるのに…」と思ったことが幾度となくあります。(もちろん、計画通り終点まで運転はしていますよ)

これまで終点近くのバス停から乗ってきた乗客は私の短い運転士経験ではまだないのですが、このような情報は運転士の話や乗降データから各事業者が集約することは可能だと思います。そうであれば、一般路線においては夜間終点近くのバス停は降車扱いだけにしてしまい、途中で乗客がゼロになれば降車扱いの区間に入り次第、運行を終了できるスタイルを導入するのもよいのではないかと思います。

実際、「税金で運行しているのだから燃料代削減でよいのでは?」「終点のひとつ前で乗客ゼロになったら別にいいじゃん」など、終点近くのバス停飛ばしを容認するネットユーザーの声が多いのも事実です。

柔軟な運行計画は民間の路線であれば導入は容易かもしれませんが、今回のように税金が投入されている公営バスや補助金が投入されているコミュニティバスの場合は予算や受給額にも影響しそうです。一方、運転士は時間短縮となることから労務面では多少なりとも効果が見込めそうですが、その分給料が減額される懸念も生じます。

このような点まで考えると、終点まで杓子定規に運行したほうが無難なのかもしれませんが、検討してみる価値はあるかもしれません。

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