• 2015.2.7

エンジンを停止させてはいけない「排ガス浄化装置」とは?

前回、アイドリングストップ(エンジン停止)について記事を書いたのですが、実は「エンジンを止めてはいけないときがある」のはご存知でしょうか?

基本的に転回場での長時間停車や信号待ちではエンジンを停止することが多いのですが、たまにエンジンを掛けた状態で停車しているときがあります。このような光景を見ると「環境に配慮していない!」と冷ややかな視線で見てくる人もいるのですが、運転士もそんなことは分かっています。

しかし、機械的な理由でエンジンを止めることができないのです。

それは、「排出ガス浄化装置が作動しているとき」です。

「排出ガス浄化装置??」

ちょっと聞きなれない言葉ですよね。私自身も大型車に乗るまでは知らなかった装置ですので、まずはこの装置について解説します。

排ガス浄化装置とは別名「DPD(いすゞ)」「DPR(日野)」「DPF(ふそう)」などと呼ばれ、ディーゼルエンジンの排気ガスに含まれる粒子状の物質を取り除く装置で、2003年の八都県市排出ガス規制で装着が義務付けられました。一言でいうと、「排ガスに含まれる有害物質を取り除くフィルター」というわけです。

フィルターですから、運行していると不純物(スス)が蓄積されていきます。しかし、不純物であるススを放置しておくとフィルターが目詰まりを起こしエンジントラブルに発展しますのでクリーニングをする必要が生じます。

クリーニングと言っても家庭用のエアコンのフィルターのように水洗いするわけではありません。かと言ってエンジンルーム内にある特殊な装置ですから運転士が簡単に手出しできるものでもありません。では、どうやってクリーニングするのか?

答えは、ススを燃焼させてクリーニングをします。

このクリーニングはススが一定量に達すると自動で作動します。ちなみに作動中はアイドリングストップのスイッチをONにしていてもエンジンは停止しません。また、アイドリングストップ装置が無くてもクリーニング作動中はエンジンは切らないよう指導している事業者がほとんどです。

さて、多くは通常の走行で自動的にクリーニングしてくれるのですが、一番厄介なのが、自動クリーニングが追い付かないときに点灯する警告灯です。

排ガス浄化装置警告灯

この警告灯は「自動ではクリーニングが追い付かないから手動でしてくれ!」という運転士へのアピールなのですが、同時におおむね100km以内*に車を停車させて手動クリーニングをさせないと装置の故障やエンジン停止につながるリスクも伴います。(*メーカーや車種によって走行距離に差があります)

ちなみに「手動でクリーニングしてくれ!」とアピールされてもエンジンルームで作業するわけではなく、運転席にあるボタンをポチッと押すだけで済むのですが、このボタンを押すためには「周囲に燃えやすいものがなく、完全停車状態を20-30分程度維持できること」が前提となります。つまり、一度押したらクリーニングが終了するまでその場から動くなというわけです。

▼関連リンク
黒煙除去フィルタ等の正しい使用方法について(国交省:pdf)

正直、面倒くさいには違いないのですが、この装置のおかげで黒煙が9割以上削減できたらしいので環境への貢献度は極めて高いですね。

しかし、乗客がこの装置とクリーニングについて知っているかと言えば、ほとんどの方は知らないと思います。私もバス運転士になったつい最近までこの装置のことは知らなかったので、個人的には転回場などで停車してクリーニングするときはLED方向幕に「浄化作業のためエンジン作動中」などと表示するのもアリかもしれません。

「そこまでしなくても…」との声も聞かれそうな気がしますが、バスがエンジンを止めずに停車しているときはこのような保守的な側面があることも理解いただければと思います。

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