• 2015.3.15

観光ブームなのにトワイライトエクスプレスや北斗星が廃止された大人の事情とは?

今回は路線バスから少し離れて”旅好き”な私の独断と偏見で、今月13日に廃止された寝台特急「トワイライトエクスプレス」「北斗星」について書いてみようと思います。

既にメディアでも大きく報道されていますのでご存知の方も多いと思いますが、トワイライトエクスプレスは1989年(平成元年)に大阪-札幌間約1500kmを結ぶ”豪華”寝台特急として登場したのですが、車両の老朽化を理由に廃止に至りました。そして、時期を同じくして上野駅-札幌駅間を結ぶ「北斗星」も今回廃止となりました。

私自身、旅好きを公言していますがトワイライトエクスプレスや北斗星など寝台”特急”への乗車経験はなく、唯一乗ったことのある寝台列車は大阪駅-新潟駅間を結んでいた「きたぐに」という寝台”急行”だけです。しかも、お金が無い学生時代だったため指定席ではなく自由席券を購入したのですが、運悪く自由席は満席でデッキのステップ部分に腰かけてウトウトしていたのを覚えています。

さて、ほろ苦く懐かしい思い出のある寝台列車ですが、今回のダイヤ改正で”豪華”寝台特急が2つも消滅することとなりました。

しかし、考えてもみてください。

最近はJR九州のクルーズトレイン「ななつ星in九州」や、近鉄の観光特急「しまかぜ」、夜行バスに目を向けるとWILLER EXPRESSの「エグゼクティブ」や、海部観光の「マイフローラ」など、贅沢な旅に注目が集まっていますよね。にも関わらず「車両の老朽化」だけで廃止されるのに少し違和感を感じませんか?

ななつぼし
(ななつ星in九州 出典:ウィキペディア)

エグゼクティブ
(エグゼクティブ 出典:日経トレンディネット)

そんな違和感から色々調べてみると車両の老朽化だけでない”大人の事情”が見え隠れしますので、トワイライトエクスプレスや北斗星が廃止された本当の理由について考えてみたいと思います。

(1)北陸新幹線開業による在来線の分離問題

寝台特急廃止と言う寂しいニュースがある一方、「北陸新幹線の開業」という明るいニュースも大きく扱われています。一見、新幹線の開業は華やかに思えるのですが、実はこの北陸新幹線の開業もトワイライトエクスプレスの廃止に影響を与えているようです。

北陸新幹線開業に伴う並行在来線の経営分離
(出典:レスポンス)

今回の北陸新幹線開業にあわせて、並行する在来線はJR西日本から第三セクターの4社に経営が移行されます。仮にトワイライトエクスプレスが廃止されなかった場合は3社乗り入れ(しなの鉄道は通らない)となるため、線路使用料による収益の分配や乗務員の段取りなど他社と調整する事項が多くなることが予想できます。

(2)JR北海道の財政事情

トワイライトエクスプレスや北斗星が北海道に乗り入れるためには「青函トンネル」を使わなければいけません。その青函トンネルは北海道新幹線が走るように現在改良工事が実施されており、新幹線開業にあわせて電車に電力を供給する電圧が25,000Vに引き上げられるそうです。

仮に、トワイライトエクスプレスや北斗星を北海道新幹線が開業した後も運行させようとした場合、”在来線の電圧”と”青函トンネルの電圧”の両方に対応できる機関車を用意しなければいけないのですが、その機関車の購入コストは1両あたり2億円以上も掛かるそうです。しかし、JR北海道の財政状況から考えると「寝台列車用に機関車を購入するなら新幹線にまわす」というのが本音のようです。

(3)青函トンネルを走る時間がない

現在、青函トンネルは在来線列車・貨物列車が走行していますが、北海道新幹線が加わると青函トンネルは過密路線になることが予想されます。さらに、夜間に保線作業を行うとすべての列車をさばききることができないので、夜間の保線作業は時間を凝縮して行なうそうです。

そんな過密スケジュールの中、先程の機関車の購入問題とあわせて考えると、青函トンネルを寝台特急が走行するのは難しいと言わざるを得ないでしょう。

(4)新幹線が寝台特急を廃止に追い込んだ?

このように、北陸新幹線と北海道新幹線の開業によって運行上の制約と調整事項が増えたことに加え、車両も確かに老朽化していたことから、万人が納得できる「車両の老朽化」を理由にして、トワイライトエクスプレスと北斗星を廃止させたというのが本音のように思われます。

実際、JR西日本はトワイライトエクスプレスの後継となる新型列車「トワイライトエクスプレス瑞風」を京阪神・山陰・山陽など”自社エリア”で走行させることを発表していますから、鉄道各社の”大人の事情”が本当の廃止理由だったように思えます。

旅行好きな私としては、寝台列車の廃止や路線の廃止は寂しいのが正直なところですが、鉄道にしてもバス事業にしても”経営”が成り立たなければ運行そのものが危ぶまれるのは当然なことですので、路線バスの運転士と言う公共交通に携わる側になった今、このような事情も分析しておいて損はないように感じます。

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